Vercel無料枠2026|Hobbyの上限と商用NGの線引き
目次
月100GBのデータ転送、100万回のFunction呼び出し、200時間のビルド実行、50個の独自ドメイン。これが2026年時点のVercel Hobbyプラン(無料枠)の主要上限。
結論から言うと、学習・個人ポートフォリオ・OSSデモ用途ならVercel無料枠で十分戦える。商用プロジェクト——広告収入、SaaS、クライアントワーク、ECサイト——はVercel無料枠の規約で明確にNG。この線引きを知らずに運用していると、ある日プロジェクトが止まる。
日本語記事の多くは「100GB制限」だけで止まっている。商用NGの具体線、超過時の動作、ドメイン周りの実態は別の話だ。そこが引っかかる。筆者が個人プロジェクト3本をVercel無料枠で実際に運用して踏んだ地雷と、公式Fair Use Guidelinesから拾った判断基準を並べていく。
この記事で得られるもの
- 2026年Hobbyプランの全メトリクス(13項目)と公式数値
- 独自ドメインの無料利用可否と50個制限の意味
- 商用NGの具体例(広告・アフィリエイト・SaaS・クライアントワーク)
- 上限到達時にサイトが停止する流れ
- Proプラン移行の判断ライン(月間PV目安)
3行結論:Vercel無料枠はどこまで使えるか
- 個人・非商用なら十分:月100GBのデータ転送、100万回のFunction呼び出し、独自ドメイン50個まで無料。中規模の個人ポートフォリオなら余裕で収まる。
- 商用は明確にNG:広告収入のあるブログ、SaaS、EC、クライアントワーク、有料メンバーシップサイトは規約違反。見つかるとHobbyから弾かれる。
- 超過時は課金ではなく停止:PayGo型のPro版と違い、Hobbyは上限を超えるとサイト配信が止まる。翌月1日にリセット。
数値の全量は次のメトリクス表に出す。
2026年Hobbyプランの全メトリクス一覧
公式の料金ページ(vercel.com/pricing)から2026年4月時点の数値を抜き出す。
| メトリクス | Hobby(無料) | Pro($20/user・月) | 用途・補足 |
|---|---|---|---|
| Fast Data Transfer | 100 GB / 月 | 1 TB / 月 | エッジ→閲覧者への転送量 |
| Fast Origin Transfer | 10 GB / 月 | 増量可 | エッジ→Origin Server間 |
| Function 呼び出し | 100万回 / 月 | 1,000万回 / 月 | Serverless Functions |
| Active CPU | 4 時間 / 月 | 増量可 | Functionの実行時間合計 |
| Provisioned Memory | 360 GB-hrs / 月 | 増量可 | メモリ割当×実行時間 |
| Function 最大実行時間 | 60秒 | 300秒 | 1リクエストあたりの上限 |
| Edge Requests | 100万回 / 月 | 1,000万回 / 月 | Edge Middleware等 |
| Image Transformations | 5,000 / 月 | 増量可 | next/image の変換数 |
| Build Execution | 200 時間 / 月 | 増量可 | 1ビルド最大45分 |
| Blob Storage | 1 GB | 増量可 | 画像・ファイル保存 |
| 独自ドメイン | 50個 / project | 無制限 | サブドメイン含む |
| Developer Seats | 1名 | 無制限($20/seat) | チーム開発は実質不可 |
| Web Analytics イベント | 50,000 / 月 | 250,000 / 月 | PV計測の上限 |
注目すべきはFunction最大実行時間60秒の制約。AIチャットアプリを個人で試作した時、長文質問でGPT-4のストリーミング応答が60秒を超え、何度もタイムアウトした経験がある。Vercel無料枠でLLMストリーミングを動かすなら、レスポンスは必ず60秒以内に収まる設計にしておく——そうしないと、ユーザーの目の前で500エラーが出る。
一次情報メモ
2026年初頭にVercelはメトリクス体系を刷新した。旧来の「Bandwidth」単一指標から、Fast Data Transfer / Fast Origin Transfer / Edge Requests / Active CPU / Provisioned Memory という細分化に切り替わっている。日本語記事の多くは旧来の「100GB」のみで止まっており、Function系の制限を見落とすと痛い目を見る。
独自ドメインは無料で使えるのか
結論:使える。Hobbyプランで独自ドメイン(例:yourname.com)を無料で接続できる。your-project.vercel.appのまま公開する必要はない。
ただし細かい条件がいくつかある。
1つのプロジェクトに50個まで
Hobbyチームは1プロジェクトあたり最大50個の独自ドメインを登録できる。サブドメイン(例:blog.example.com / app.example.com)もこの50個に含まれる。個人用途で50個に届くケースはほぼ無い。
ドメインの購入・更新費用は自己負担
"無料で使える"のは接続料金だけ。ドメイン自体はお名前.comやCloudflare Registrar等で自分で買う必要がある。.comなら年1,500円前後が相場。
DNS設定は手動(もしくはVercel Registrar経由)
他社で買ったドメインを繋ぐ場合、Aレコード(76.76.21.21)またはCNAMEを手動で設定する。公式の設定ガイド通りに進めれば10分で終わる。Vercel RegistrarでドメインをHP購入する選択肢もあるが、他社より若干割高な点に注意。
SSL証明書は自動
ドメインを繋いだ瞬間、VercelがLet's Encryptで証明書を発行してHTTPS化する。自分で何かする必要はない。ここだけは無料プランでも一切手抜きがない。
ドメイン接続はこれで終わり。次の問題は、そのドメインで何を運営するか。Hobbyプラン最大の地雷がここにある。
商用利用の線引き(Q&A)
Vercelの公式Fair Use Guidelinesで最も強く書かれているのが、Hobbyは個人・非商用のみというルール。"非商用"の解釈が曖昧で、日本語記事では曖昧に流されがちなので具体例で整理する。
Q. 個人ブログにGoogle AdSenseを貼るのは?
NG。広告収入が発生するサイトは商用扱いになる。AdSense・アフィリエイト・Amazonアソシエイトいずれも対象。ここが一番多くの個人開発者が引っかかるポイント。
Q. ポートフォリオサイトは?
OK。自分の作品や経歴を見せるだけのサイトは"個人利用"の範疇で問題ない。就職活動用のポートフォリオも含まれる。
Q. 無料のWebアプリ(ツールやゲーム)は?
基本OK。ただし"無料だが広告を表示する"構成はNG。完全に広告なしで運営する個人ツールなら許容される。
Q. クライアントワーク(受託開発)の納品先としては?
NG。クライアントのビジネスを支えるサイトは商用と判定される。納品用途なら最低でもProプランを使う必要がある。
Q. GitHub OSSのデモサイトは?
OK。オープンソースプロジェクトのデモ・ドキュメントサイトは非商用として扱われる。これがHobbyプランの代表的な使われ方だ。
Q. 有料メンバーシップ・サブスクリプションは?
NG。月額制の会員サイト、noteのような有料コンテンツ配信、Patreonと連携した限定サイト、全て商用扱い。
よくある誤解
「売上がゼロなら非商用」ではない。重要なのはビジネス目的かどうか。無料で運営していても、将来的に収益化する予定の個人SaaSベータ版はグレーゾーン。Fair Use Guidelinesの原文に従うなら、そもそもHobbyに載せないのが安全策。
上限に達したら何が起きるか
Pro版と違ってHobbyはPayGo(超過課金)が効かない。上限は残高ゼロのプリペイドSIMと同じで、使い切った瞬間にそこで止まる。クレカが勝手に引き落とされるわけではない。
- 75%到達:登録メールアドレスに警告メールが届く。ダッシュボードにも通知バナー
- 100%到達:該当メトリクスの提供が即停止。データ転送超過ならサイト配信が止まる。Function呼び出し超過なら API が返らなくなる
- 翌月1日 UTC:月次リセットで自動復活。何もしなくても動き出す
- 復活を待てない場合:Proプランに即時アップグレードすれば、追加の従量課金でその場で解除される
Vercel無料枠で運用している個人ブログで実際に体験した事例を出す。先月、1本の記事がバズり月の8日目で60GBを消費した。通知が届いた時点で画像をWebP化、Cache-Controlを長めに張り直す対応を入れた。月末までの残り22日を約40GBで耐え切った。通知から対策まで猶予は十分ある。いきなりブラックアウトはしない。
Proプラン($20/月)に移すべきライン
"いつProに上げるか"は、個人開発者が最も悩むポイント。判断基準を2つ出しておく。
基準1:商用化した瞬間
規約上、商用化するなら即Pro。広告を貼る、有料プランを作る、クライアントの案件として納品する——このどれかに当てはまった時点で移行する。違反のまま運用して後から指摘されると、プロジェクトが強制停止される可能性がある。
基準2:月間PVが3-5万を超えた辺り
無料枠100GBはどれくらいのPVで尽きるのか。ざっくり計算してみる。
| ページ種別 | 1PVあたり転送量 | 月100GBで可能なPV |
|---|---|---|
| 軽量ブログ(テキスト中心・WebP最適化) | 約300KB | 約33万 |
| 標準的なNext.jsサイト | 約1MB | 約10万 |
| 画像多めのポートフォリオ | 約3MB | 約3.3万 |
| 動画やフルサイズ画像含む | 約10MB | 約1万 |
画像多めのサイトなら3-5万PVで枯れる。軽量なテキストブログは30万PVまで耐える。自分の数値はVercelダッシュボード → Usage → Data Transferで一発確認できるので、表と照らし合わせて余裕が2ヶ月分を切った段階でProを検討するのが現実的なライン。
無料枠を長持ちさせる5つの設定
地味だが効く設定を5つ。どれも30分以内で入れられる。
1. next/image を必ず使う(WebP自動変換)
<img>タグで直接画像を貼ると、元の巨大なJPEG/PNGがそのまま配信される。next/imageを使うと、WebPに自動変換されてファイルサイズが半分以下になる。ただしImage Transformations枠(5,000/月)を消費する点は意識しておく。
import Image from 'next/image'
<Image src="/hero.jpg" alt="..." width={1200} height={630} />
2. Cache-Control ヘッダーを長めに設定
静的アセットのキャッシュ期間を長くすると、同じユーザーが複数回訪問してもFast Data Transferを食わない。vercel.jsonで一括指定できる。
{
"headers": [
{
"source": "/assets/(.*)",
"headers": [
{ "key": "Cache-Control", "value": "public, max-age=31536000, immutable" }
]
}
]
}
3. ISRで Function 呼び出しを削る
ブログ記事のように更新頻度が低いページは、Incremental Static Regeneration(ISR)を使う。SSRで毎回Function呼び出しを発生させるより、ISRでキャッシュしたHTMLをCDNから返すほうがFunction枠を節約できる。
export const revalidate = 3600 // 1時間ごとに再生成
4. Edge Middleware は最小限に
Middlewareは全リクエストで動く。これが危うい。月100万のEdge Requests枠は、Middlewareだけで溶ける。認証チェックとリダイレクト以外は入れない。A/Bテストのロジックを書きたくなるが、それはクライアントサイドでやる話だ。
5. ビルド時間を45分以内に収める
1ビルドあたり45分が上限。Monorepoで全パッケージをビルドしていると容易に触れる。ある案件ではturborepo導入前に毎回43分前後でヒヤヒヤしていた。turbo.jsonでキャッシュをオンにして差分ビルドに切り替えたところ、通常ビルドは3-5分に収まる。Monorepoを使っているなら、この設定は最優先で入れる。
まとめ:Vercel無料枠は"個人の遊び場"として最強
2026年時点で、静的サイト+Serverless Functionsの個人ホスティングとしてVercel無料枠はかなり恵まれている。100GBのデータ転送、100万回のFunction呼び出し、50個の独自ドメイン、SSL証明書、Web Analytics。類似サービスだとCloudflare Pagesが競合になるが、Blob StorageとWeb Analyticsがデフォルト付属する点でVercel無料枠が一歩先を行く。
ただし2つだけ、絶対に忘れてはいけない。商用NG、そしてFunction最大60秒。この2点を踏んだ瞬間に事故が起きる。逆に言えば、この2点さえ意識していれば、学習・ポートフォリオ・OSSデモ用途で困ることはまず無い。
自分のサイトが商用に化けた時は、迷わずProに上げる。$20/月は、規約違反リスクを消す保険料として安い。
次のアクション
- 自分のプロジェクトが商用か非商用か判定する
- Vercelダッシュボードの Usage タブで現在の消費量を確認
- 次の月までに
next/imageとCache-Controlを導入 - ビルド時間が長いならturborepoキャッシュを入れる
- 商用化予定があるなら予めPro版に上げておく
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参考書籍
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基礎から学ぶ Next.js
— VercelのメインユースケースであるNext.jsを体系的に学べる入門書。
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プロを目指す人のためのTypeScript入門
— Vercel/Next.js開発で必須のTypeScriptを実装視点で学べる一冊。